社会的なパグ

フェミニストなのに広告会社にいる。迷いながら生きています。

「美術館女子」に思ったこと

「美術館女子」が散々文句を言われた挙句に静かにサイトを閉鎖してしまいました。
なんか袋叩きにするだけして終わってしまった感じで後味の悪い読後感で、どうすればよかったんや…という途方もない気持ちがあります。


わたしは公開されていたサイトをざっくり見たものの、なんかしっくり来ないな…と思いながらうまく言語化できなくて、ツイッターに溢れる声を見ながら考えていきました。
そもそも、あのサイトってなにを伝えたいのかがよくわからなくて、それがまずプロモーションとして良くないんじゃないかと思うのですが…(わたしに読解力が無いだけではない、はず…)
今更ながら、まずは「いったい何がしたかったのか?」をいくつか仮定し、検討してみようと思います。


1.美術館の「建物」を切り口に美術館の来訪を促すのが企画の目的だった場合

あくまでもわたしの想像ですが、下記のような流れで決まったんだろうな、と推察します。

①美術館の来訪者を増やすために、新規顧客層を拡大するにはどうすればいいか?
②「美術館て、所蔵の美術品だけではなく建物自体も素敵なんだよ。美術品にあまり興味がない人も軽い気持ちで足を運んではいかがかな」と呼び掛けてみよう
③建物の映えを訴求するとなれば、やはりインスタ世代の女性をターゲットにしよう
④さらにそんな女性を「●●女子」の流れに則って「美術館女子」と名付けたらキャッチ―でいいかもしれない

これに関しては、美術手帖のコラムでは下記のような批判がありました。

 美術館を『映えスポット』と呼んで、作品を鑑賞する場所である美術館を、インスタグラムなどの撮影場所のようにとらえているところも非常によくないと思います。こんなふうに館内各所で撮影したら、他の来場者の作品鑑賞の妨げになってしまうのではないでしょうか。

「美術館女子」は何が問題だったのか。「美術界のジェンダー格差を強化」「無知な観客の役割を女性に」|美術手帖

 

わたしは個人的には「映えスポット」として呼び水にするのはひとつの手法としてありなのかなと思っています。
美術館も商売としてお客さんを増やしていかないといけない。新規客を増やすには、いまは美術館に興味ない人を呼んでこなければならないわけで、その切り口として建物の美しさを訴求するのはいいことなんじゃないかなと思いました。その中で、展示を楽しんでくれて、「また違う時にも来てみたい」と思ってもらえる人が増えればいい。

(一方で、これは机上の空論で、実際には美術手帖の指摘のように迷惑客で溢れてしまうのかもしれないとも思う…わたしは年に数回しか美術館に行かないので、上記の記事を読んで「実際に真似する人なんているのかな?」と疑問に思ったけど、美術館来訪客の実態はわかりません)

なので、素人目にはなりますが、やはり「美術館女子」っていうネーミングが良くなかったんじゃないかなと思います。例えば「美術館の建物萌え」みたいな、建物自体をもっとフィーチャーするような名前だったら全然印象は違ってきたのではないかなと思います。

ネーミングの悪さは最後にまとめて考えてみる。 


長くなってしまったので続きます⇒

 

isunoue.hatenablog.com