社会的なパグ

フェミニストなのに広告会社にいる。迷いながら生きています。

【広告】西友 料理を手間抜きに。プロジェクト

 「料理をする大変さ」を可視化するWEBサイトや動画を制作。
WEBサイトでは料理にまつわるアンケートを掲載。動画では、家族の中で普段料理をしない側の人に2日間料理を担当させることで、“料理”がいかに多くの工程に分かれているかを明示した。

 

アンケートからも見えてくる「手料理こそ愛情がこもっている」「惣菜を購入することは罪悪感がある」という“社会通念”に対して、「献立を考えるところから既に手間が発生しており、手作りだろうが惣菜だろうがそこには愛情がある」ことを示し、惣菜の役割を「食卓のお手伝いをするもの」として再定義した。

さらにSNSでは料理家インフルエンサーを起用し、惣菜にちょい足しするレシピを公開。惣菜の使い方を例示することで惣菜を使いやすく、身近で手に取りやすいものにした。

 

パッと見よくありそうな内容、かつ、動画内に登場する2組の家族はどちらも普段は妻が料理担当で夫がチャレンジするという構成だったが、「性別による役割の決めつけ」というクレームは見受けられず、SNS上でも非常に反応が良い。

WEBサイト、動画ともに「料理って一言で言うけども、冷蔵庫の在庫も考慮したうえで献立を考えて買い出しして作って片付けて、めちゃくちゃ面倒なんやで」というメッセージが非常に伝わりやすかったため、(そしてそれを担っているのが大体女性であるということも言外に匂わせているため)「また女性に料理を押し付けてさ…」という読後感にはならなかったことが大きいのではないか。

 

さらに下記の配慮も主題を際立たせるのに役立っていたように思う。

 ・動画のラストに「COOKING IS…」のタイトルで、普段料理をしている人がどんなところに注意しながら工程をこなしているのかを羅列するエンドロールを加え、改めて料理の手間の数々を明確にした

・男性の料理チャレンジを2日間にすることで「昨日の反省点を改善する」「昨日の余り食材を活かす」という課題も生まれ、単純に1日料理にチャレンジさせるよりも深みが生まれた

・合間に「ポテトサラダって何分で作れるか知ってます?」といったような、ポテサラ論争を彷彿とさせるインタビューを入れることで、普段料理をしない側の無知も明確にした

 

(ちなみに、WEBサイトに掲載されたアンケートによると、料理はほぼ自分が担当していると答えた女性が約90%、料理はほぼ相手が担当していると答えた男性が約72%。単純に引き算はできないが18%の乖離があり、男性の方がやってるつもりになっている人が多いのかなというのが個人的には気になったなぁ…笑)

 

WEBでプロモーションをするにあたり、SNSの炎上にも配慮していることを感じで非常に参考になった(なんの?)。

が、わたしは神経質なので、男性が今までの自分の無力さ無知さを悔い改めるインタビューシーンがなんであんなにお洒落なのかが気になりましたね!

いい大人が「経験しないとわからないことだらけでした」なんて当たり前のセリフとあんなお洒落なソファでいい感じの照明の光に当たりながらよく言えるなと…そんな簡単なことにすら今まで気づかなかったんだから、もっと取調室とか独房みたいなところで肩を縮こまらせて恥ずかしそうに語ってくれたらもっと救われた気持ちで見ることができたのに…笑